アンティーク カードケース
投稿日: 投稿者:WATANABETAIGA
カードケースとは?
カードケースはいわゆる「名刺入れ」のことですが、アンティークの時代の名刺は今のようなビジネスで使うものではなく、上流階級の人々が社交の場で渡すものでした。
17世紀ごろからヨーロッパやアメリカの上流階級の社交の場で「コーリングカード」「ビジティングカード」と呼ばれるカードを渡す習慣が始まり、シルバーや白蝶貝、べっ甲など様々な素材で美しい装飾のカードケースが作られるようになります。
カードにも様々な装飾がほどこされています。
当然ながら電話番号やメールアドレス等はなく内容は名前とかんたんな住所くらいです。
裏にメッセージなどを書いて渡していたそうです。
電話もない時代ですから、ちょっとした用事でも家を尋ねなければなりません。
ビクトリア時代の英国ではカードの交換にもいろいろなルールがあったようです。
まずは訪問をしたい相手の家をまず訪ね、使用人の持つカードトレイと呼ばれる小さめのサルヴァにカードを載せ、それを家の主人に渡してもらいます。
受け取った家の主人は、招待したい相手には自分のカードに訪問して良い時間などを書いて相手に送り、招待したくない相手にはそのまま相手のカードを送り返したそうです。
カードケースの種類
アンティークのカードケースはいろんなタイプのものがあります。
ここでは代表的なものを紹介します。
①ジッポライタータイプ
蓋の部分をジッポライターのように跳ね上げるタイプです。
英国アンティークの純銀製カードケースでは一番多いタイプになります。
軽くてコンパクトですが20枚以上の名刺が入るものもあります。
②エイドメモワールタイプ
両開きの二つ折りタイプでメモ用のセルロイド版と小さなペンがついています。
中に革や布のポケットがあり、カードや切手などが入るようになっています。
中のポケットやセルロイド版がなくなってしまっているものも多いです。
③湾曲型小型タイプ
ポケットに入りやすいように湾曲型の形状になった小型のタイプです。
男性が使っていたものでカードも小型のものが使われていたようです。
④チェーン付きタイプ
チェーンと指を引っ掛けるためのリングが付いたタイプです。
小さなハンドバッグのような形状で女性が使っていたもののようです。
⑤シルバー以外のもの
シルバー以外にもレザー、白蝶貝、べっ甲などいろいろな素材のものがあります。
カードケースの魅力
アンティークのカードケースの魅力はなんと言っても1つとして同じものがないこと。
上流階級の人々が社交で使用するものですから、それぞれが贅を凝らした美しいデザインのカードケースをオーダーして作らせています。
当時のコーリングカードは今のようにサイズの規格が決まっておらず、カードケースのサイズもいろいろですが、今の名刺(約9x6cm)が入るものも多いです。
名刺交換の際にアンティークのカードケースから名刺を取り出せば、会話のきっかけにもなり相手の印象にも残ること間違いなしです。
名刺が入らないくらいの少し小さめのカードケースでもクレジットカードや折り曲げた紙幣なら入るものがあります。
最近は電子マネーが普及し小銭や現金を使う機会も少なくなりましたので、こうしたカードケースに数枚のクレジットカードや紙幣を入れて、超小型財布として使用するというのも粋な使い方だと思います。
まとめ
カードケースは工芸品としての美しさはもちろん、名刺入れや小型財布として日常生活にも取り入れやすいアンティーク品です。
一つとして同じものはありませんので、自分だけのお気に入りのデザインのカードケースとの出会いがあることを祈っています。