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アンティーク シャープペンシル

アンティークシャープペンシルとは?

芯を機械的に繰り出すことができるシャープペンシル。その歴史はとても古く、イギリスやフランスでは18世紀(1700年代後半)ごろから作られていたそうです。

ちなみにシャープペンシルというのは日本のみで通用する和製英語です。
後に大手電機機器メーカーとなる「SHARP」の前進「早川兄弟商会金属文具製作所」が「シャープペンシル」開発し「シャープペンシル」の名前で売出したことで広まりました。
英語では一般的にプロペリングペンシル(英)やメカニカルペンシル(米)と呼んでいます。

伸縮式でとてもコンパクトになるタイプのものは「マジックペンシル」とも呼ばれ、ペンダントやアルバートチェーンのフォブとして使えるようなサイズとなっています。
これらの多くがシルバーやゴールドのペン軸にエングレービング(彫刻)やエナメルなどによる装飾がほどこされていたり、ペン尻部分に天然石やシール(印章)などがついていたりと、工芸品としても大変美しいものがたくさんあります。

 

バリエーション

サイズは様々で折りたたむと5cm伸ばしても8cmほどほどしかないものから、伸ばすと12cm以上の通常のペンシルと変わらない長さになるものまであります。

アンティークシャープペンシル

 

材質はスターリングシルバーや金張りのものが多いですが、まれに9ctや14ctゴールドなどの豪華な金無垢のものも存在します。

アンティークシャープペンシル

 

ペン尻部分には、チェーンなどに取り付けられるように丸カンがついていたり、天然石が埋め込まれていたり、シール(印章)が付属しているものなどがあります。

アンティークシャープペンシル

 

装飾も様々で細かな彫刻(エングレービング)がほどこされたもの、ダイヤが埋め込まれたもの、エナメルなどで鮮やかに装飾されたものなどがあります。

アンティークシャープペンシル

 

変わり種として、推進式のペンシルだけでなくつけペンも一緒になっているものがあります。

アンティークシャープペンシル

 

使い方

現代のシャープペンシルはノック式のものがほとんどですが、ノック式のシャープペンシルは1960年に日本で発明されたものなので、この時代のものは推進式ペンシルと呼ばれるペン先を回して芯を繰り出すタイプのものとなっています。

ペンの伸縮方法、芯の出し方、芯の交換方法を動画でご説明いたします。


マジックペンシルの伸縮方法


マジックペンシルの芯の出し入れ方法


マジックペンシルの芯の交換方法

 

替芯

現在のシャープペンシルの芯の太さは0.5mmなどが一般的ですが、この時代のものはもう少し太めのもの(0.6-1.5mmくらい)が主流です。
しかも現在のように規格が決まっていないため、様々な太さの芯が使われていました。
ペン先の精度も低く長い年月の間に変形して真円ではなくなっているものもあります。
それぞれのペンに合わせて芯を調整する必要があることがほとんどです。

現在、日本国内でも手に入りやすい太さのものとしては、0.7mm、0.9mm、1.18mm、1.3mm、1.4mm、2.0mmあたりがネット通販等で比較的手に入りやすいです。
これらの規格品がピッタリ合う場合は問題ないのですが、合わない場合は以下のようにして一番近い太さのものを調整してください。

①芯を紙やすりで削る
 少し太めの場合は、耐水ペーパーなどを使って芯を削ります。
 削りすぎてしまわないように注意しながら少しずつ削ってください。

②ペン先を千枚通しやペンチなどで軽く変形させる
 芯が少し太い場合は千枚通しをペン先に入れて少し広げたり真円に戻します。
 芯が少し細い場合はペン先を少し潰して楕円形に変形させます。
 ペン先がスターリングシルバーだと柔らかく、弱い力でも破損してしまうので慎重に。

③蜜蝋などを塗る
 芯が少し細い場合は蜜蝋やセラックニスと呼ばれる植物性の樹脂などを芯に塗ります。
 芯に厚みを出すことでピッタリと合わせる方法です。

 

まとめ

アンティークのシャープペンシルは現在のシャープペンシルに比べるとお世辞にも使いやすくないですし、書き心地も良いとはいえません。
替芯の準備や芯の交換にかなり苦労することもあります。

しかし、ただ筆記する目的の道具ではなく、ジュエリーのような美しい装飾や、伸縮のギミックなど、アンティークの工芸品としての魅力がこの小さな筆記具に詰まっています。



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